「事務作業に追われて本来やるべき仕事に手が回らない」「人手は増やせないのに業務量は増えていく」——こうした悩みを抱える担当者は少なくありません。請求処理やデータ入力、議事録作成といったルーチン業務は、AIによって自動化が進みつつある領域です。
結論から言えば、事務作業の効率化は、AIで何ができるのかを業務シーンごとに具体的に知り、自社の課題と照らし合わせることから始まります。本記事では、事務のAI活用事例7選を業務別に解説し、あわせて導入のメリット、始め方の3ステップ、成功のポイントまで、最新データをもとに紹介します。
なお、本メディアを運営するPICK UPは、ノーコード開発とAI連携を専門とし、企業ごとの業務に合わせた仕組みづくりを手がけています。「自社の事務作業にAIをどう取り入れればよいか相談したい」という方は、無料相談フォームからお気軽にお問い合わせください。
事務作業にAIが求められる背景
定型業務の自動化や負担軽減を目的に、事務領域でのAI活用が進んでいます。その背景には、人手不足や業務の属人化といった構造的な課題があります。まずは事務領域が抱える課題と、AI導入で得られる効果、そして現在の活用実態を見ていきましょう。
事務職が抱える課題
事務の現場には、いくつかの根深い課題があります。代表的なのが業務の属人化です。特定の担当者に手順やノウハウが偏ると、引き継ぎが難しくなり、その人が不在になると業務が止まってしまいます。
また、少人数で幅広い業務をこなすため、担当者の負荷が慢性的に高くなりがちです。情報の入力や確認といった単純作業では人的ミスを避けにくく、小さな入力ミスや確認漏れが後工程に影響することもあります。紙の書類に依存した業務が残っている場合は、検索性の低さや保管コストも非効率の要因になります。
AI導入で得られる効果
AIを導入すると、定型作業の自動化によって属人化のリスクを抑えられます。誰でも同じ手順で処理できる仕組みが整えば、業務の標準化と引き継ぎの円滑化につながります。繰り返しの作業や大量データの処理をAIが担うことで担当者の負担が軽くなり、人的ミスの抑制にも効果があります。文書作成やデータ入力の自動化は精度とスピードの両立に寄与し、帳票の電子化を進める土台にもなります。
事務領域でのAI活用の現状
事務を含む管理部門は、いまAI導入が最も進んでいる領域のひとつです。中小企業基盤整備機構の調査(2026年3月)によると、中小企業のAI導入率は20.4%、導入を検討している企業を含めると39.0%が前向きという結果でした。業務分野別では総務・管理部門の導入率が68.3%で最も高く、事務領域からAI活用が始まっている実態がうかがえます。導入目的は「業務効率化・作業時間の短縮」が87.0%と突出して多く、利用されているAIでは生成AI(文章などを自動で作り出すAI)が82.6%を占めています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 中小企業のAI導入率 | 20.4%(検討中を含むと39.0%) |
| AI導入率が最も高い業務分野 | 総務・管理部門(68.3%) |
| AI導入の主な目的 | 業務効率化・作業時間の短縮(87.0%) |
| 最も利用されているAI | 生成AI(82.6%) |
また、日本政策金融公庫の調査(2025年)でも、今後導入予定があるデジタルツールとしてAIが17.8%で最も高い関心を集めています。事務作業の自動化・最適化は、今後の競争力を左右する取り組みになりつつあります。
出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)、日本政策金融公庫「デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査」(2025年)
事務のAI活用事例7選【業務別】
ここからは、事務作業のAI活用事例を業務別に7つ紹介します。それぞれ「従来の課題」「AIでどう変わるか」「得られる効果」の流れで解説します。
事例1:請求・経費処理の自動化
従来の請求・経費処理は、手作業でのチェックや分類が必要で、二重申請や不備の見落としといったミスが起こりがちでした。AIエージェント(人の代わりに一連の作業を自律的に進めるAI)を使えば、請求書の内容を自動で読み取り、金額上限・勘定科目・承認ルートなどの社内ルールに沿って分類・チェックできます。
実際に、グループウェアを提供するrakumoは、紙の申請書を撮影した画像やPDFをアップロードするだけで、AIがワークフローのひな型を自動作成する仕組みを実現しました。経費精算では、社内規定と照合して承認を自動実行し、不備があれば理由を添えて差し戻すといった活用例も登場しています。確認工数を減らしながら、ミスや不正の早期発見につながります。
出典:生成AI活用事例120社(rakumo)|Google Cloud 公式ブログ
事例2:会議の議事録作成とタスク整理
会議の記録やタスク整理は手作業に頼りがちで、議事録の作成漏れや伝達ミスが起こりやすい業務です。AIを使えば、発言者を識別しながら自動で文字起こしを行い、内容の要約まで実行できます。会議後のタスクのまとめや、お礼メールの下書き作成を任せることも可能です。その結果、議事録の精度と共有スピードが上がり、会議後にやるべきことが確実に可視化されます。
事例3:メール・文書の下書き作成
問い合わせ対応や定型連絡で、毎回ゼロから文面を作る作業は時間も労力もかかります。生成AIに過去の対応履歴や社内情報を踏まえて返信メールの下書きを作らせれば、担当者は内容を確認・調整するだけで済みます。文面作成の時間が大幅に短縮され、対応スピードと生産性の向上につながります。ただし、送信前に人が内容を確認する運用は欠かせません。
事例4:日程・スケジュール調整
会議や面談の日程調整は、関係者の都合を確認しながら何度もやり取りを重ねる、非効率な業務の代表例です。AIを使えば、各メンバーの予定や業務状況、優先度を考慮して最適な日程を自動で提示できます。調整にかかる時間と労力が減り、日程確定までのスピードと正確性が高まります。
事例5:データ入力・転記の自動化(AI-OCR)
日常的に発生するデータ入力は、手作業での転記・確認に多くの時間がかかり、ミスの温床にもなりがちです。AI-OCR(紙書類の文字を読み取る技術)を使えば、申込書や領収書をスキャンするだけで日付・金額・取引先名などを自動で抽出し、システムへ入力できます。手書きアンケートの集計・分類や、名刺情報の顧客管理システムへの自動登録も可能です。作業時間の短縮と入力ミスの削減に加え、情報の一元管理もスムーズになります。
事例6:社内外の問い合わせ・窓口対応
社内外からの問い合わせ対応は、担当者が長時間拘束されやすく、本来の業務を妨げる要因になっていました。AIチャットボットを使えば、よくある質問への一次対応を24時間自動で行い、備品の場所や会議室予約といった社内問い合わせにも、フローに沿って案内できます。
この領域は効果が数字で表れやすいのが特長です。東京ガスは、通話内容をリアルタイムで文字起こしし、AIが適切な応対内容やFAQを提示する仕組みを導入した結果、年間1万1000時間もの業務時間削減を達成したと報告されています。担当者が不在でも取りこぼしを防ぎ、対応品質の安定にもつながります。
出典:AI導入で年間1万1000時間の応対時間削減|東京ガス
事例7:社内情報の検索・要約
社内資料やマニュアルが増えると、必要な情報を探すだけで時間がかかります。社内に蓄積された資料やマニュアルを学習させた生成AIを使えば、知りたいことを質問するだけで要点の要約を瞬時に得られます。これまでベテランに聞かなければ分からなかった情報も誰でも引き出せるようになり、調べる時間の短縮だけでなく、属人化の解消にも役立ちます。
自自社のどの事務作業からAIを取り入れるべきか整理したい方、お気軽にご相談ください。
無料相談はこちら事務でAIを活用する3つのメリット
事例を踏まえて、事務作業にAIを取り入れる代表的なメリットを整理します。
ミスの削減と品質の均一化
人による作業には、入力漏れやチェックの見落としがつきものです。AIは帳票データの読み取りや不備検知を高い精度で自動化できるため、ヒューマンエラーを抑えられます。結果として作業品質が均一になり、ミス対応の手戻りも減ります。
属人化の解消と知識の共有
AIによって業務手順や判断基準が明文化・構造化されると、個人の経験や勘に頼らず、誰でも同じ水準の作業を再現できる環境が整います。これにより知識やノウハウの属人化が防がれ、チーム内での共有や引き継ぎが自然に進みます。
生産性向上と人手不足の緩和
AIが繰り返し作業や単純処理を代行することで、日々の負担が軽くなります。その分、担当者は判断や企画など頭を使う業務に集中でき、限られた人員でも安定して業務を回せる体制づくりにつながります。
事務職がAI活用を始める3ステップ
「何から始めればいいか分からない」という場合は、いきなり大規模に導入するのではなく、段階的に進めるのが成功の近道です。
ステップ1:目的と課題を明確にする
まず「何を改善したいのか」を具体的に決めます。たとえば「データ入力の時間を半分にしたい」「請求処理のミスを減らしたい」といったゴールを定めると、導入すべきツールの選定基準がはっきりし、業務への定着につながります。インパクトの大きい課題から着手することが、成果を出す最大のポイントです。
ステップ2:社内データを整える
AIの精度は、参照できる社内情報の質に大きく左右されます。マニュアルやFAQ、業務ルール、テンプレートなどを事前に整理し、AIが必要な情報にすぐアクセスできる状態を作っておきます。事務で頻出する用語や定型文書を分類しておくと、より的確な処理が可能になります。
ステップ3:自社に合った仕組みを導入・拡張する
まずは汎用的な生成AIや既製ツールで小さく始め、自社の業務に合わない・複数のツールを連携させたいと感じた段階で、自社専用の仕組みへ拡張します。ノーコード開発(プログラミングなしでアプリを作る開発手法)を使えば、AIを自社の業務フローに組み込んだ仕組みを、現実的なコストとスピードで構築できます。
事務のAI活用を成功させるポイント・注意点
AI活用を定着させるには、いくつか押さえておきたい点があります。主に次の4点です。
目的を明確にする
「AIを導入すること」自体が目的にならないよう、解決したい課題を起点に据えます。インパクトの大きい業務から着手することで、投資に見合う成果を得やすくなります。
出力は人が最終確認する
生成AIは、もっともらしい誤った情報を出力すること(ハルシネーション)があります。AIの出力は下書きや参考として扱い、人が必ず最終確認を行う運用が欠かせません。
情報管理とセキュリティに配慮する
顧客情報や社外秘を扱う場合は、入力してよいデータの範囲や、利用するAIのデータ取り扱いルールを事前に確認します。入力した情報が外部の学習に使われない設計のツールを選ぶことも有効です。
導入後のフォロー体制を整える
AIの導入はゴールではなくスタートです。運用しながら精度や使い勝手を改善し続ける前提で計画を立てることで、現場に無理なく定着していきます。
ノーコード×AIで「自社専用」の事務効率化を実現する
既製のAIツールは手軽に始められる反面、「自社の業務フローに合わない」「複数のツールがバラバラで連携できない」といった壁にぶつかりがちです。そこで有効なのが、ノーコードで自社専用の仕組みを構築するという選択肢です。
PICK UPでは、ノーコードツールのBubbleと、AIワークフローを構築できるDifyなどを組み合わせたシステム開発を得意としています。たとえばレンタカー貸出サービスの開発事例では、予約・在庫管理に加えてAIチャットによる問い合わせ対応を実装しており、社内外の問い合わせ対応やデータ管理の自動化にそのまま応用できる構成です。
フルスクラッチ開発に比べて費用と期間を抑えながら、自社の事務作業にぴったり合った仕組みを実現できるのが、ノーコード開発の強みです。
よくある質問
Q. 事務のどんな業務からAIを始めるのがおすすめですか?
A. 時間がかかっている定型業務や、ミスが起こりやすい業務から始めるのがおすすめです。データ入力や議事録作成、メールの下書きなどは効果が出やすく、小さく始めて成果を確認しながら広げていけます。
Q. AIを導入すると事務職の仕事はなくなりますか?
A. 定型業務をAIに任せ、人は判断や調整など付加価値の高い業務に集中する、という役割分担が基本です。実際の事例でも、AIは担当者の負担を減らす道具として活用されています。
Q. 小さな会社でも事務作業にAIを導入できますか?
A. はい。汎用的な生成AIなら一人あたり月額数千円から始められます。むしろ手作業が多く残っている小規模な会社ほど、自動化による改善幅が大きい傾向にあります。
Q. 既製のAIツールと自社専用システムはどう違いますか?
A. 既製ツールは手軽に始められますが、自社のフローに合わない場合があります。複数のツールを連携させたい、自社独自の業務に合わせたいという段階では、ノーコードによる自社専用システムが有効です。
Q. AIが間違った処理をしないか不安です。
A. 生成AIには誤った出力をするリスク(ハルシネーション)があります。AIの出力を最終とせず、人が確認する工程を残す運用にすることで、リスクを抑えながら効率化できます。
まとめ|事務のAI活用は「課題の特定」から始める
事務のAI活用は、請求・経費処理、議事録作成、メール下書き、日程調整、データ入力、問い合わせ対応、情報検索など、幅広い業務で効率化に貢献します。実際に、総務・管理部門はAI導入が最も進んでいる領域であり、多くの企業がすでに成果を上げています。
大切なのは、AIを導入すること自体を目的にせず、自社の課題を特定したうえで、負担の大きい業務から小さく始めることです。そして既製ツールで物足りなくなったときに、自社専用の仕組みへと育てていく。この段階的な進め方が、無理のない事務効率化への近道です。
事務のAI活用は、ノーコード開発のPICK UPへ
PICK UPは、ノーコード開発とAI連携を専門とする制作会社です。BubbleやFlutterFlow、AIワークフローを構築できるDifyなどを組み合わせ、請求・経費処理の自動化、社内問い合わせ対応、書類のデータ入力(AI-OCR)、社内情報の検索・要約など、自社の事務フローに合わせた仕組みを構築します。既製ツールでは合わなかった独自の業務フローや、複数ツールの連携にも対応できます。
「どの事務作業からAIを使えばいいかわからない」「うちの規模でもできるのか不安」という段階でも問題ありません。御社の業務の流れ・課題・ご予算をうかがったうえで、必要な機能に絞った無理のない開発プランと概算のお見積もりをご提案します。要件の整理から構築、運用が定着するまで一貫してご支援しますので、お気軽にご相談ください。
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